2009年09月19日

「ダ・ヴィンチ・レガシー」ルイス・パーデュー

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 アマチュアのダ・ヴィンチ研究者ヴァンスは、養父が手に入れたダ・ヴィンチの手稿を調べるうち、2ページ分がすりかえられていることに気がついた。手稿の謎を追う先々で起こる殺人事件。やがて、その裏には宗教界や秘密結社がからむ闇の陰謀が隠されていることが明らかに。消えた手稿には、約500年の時を超え、現代の人間をも驚嘆させる<何か>が書かれていたのだ。手に汗握る展開と知的興奮が導く衝撃のクライマックス!
おまけのホームページあとがき。

 本書は20年前に書かれたものが、昨年、多少の手直しを加えて再出版されたものです。

 有名な話で、このホームページやメールなどでもよく質問されることなので、例の盗作問題についてちょっとここでお話しておきます。
 作者は「あのベストセラー」は自分が20年前に書いたこの作品を盗作したものだと、裁判を起こしたそうですが、私が読み比べたかぎりではあまり似てません。
 「ダ・ヴィンチ」、「手稿」、「秘密結社」を使った三題小ばなしをふたりの作家が作った、という程度の似かたです。盗作問題に興味のあるかたは、ぜひ読みくらべてみてね(宣伝)。
 なかなかおもしろく訳せたと思うので、冒険ものが好きなかたに読んでいただければ幸いです。(ミステリを期待されるとちょっと違うかも。謎解き要素はいっさいありません)
 訳している間はけっこう楽しかった。自分で言うのもなんですが、イタリアに行きたくなってしまいました。

 ところで、ここからはちょっとした裏話。
 再出版までの20年のブランクは長かった。その間に、ピサの斜塔の傾斜角が変わり(倒れそうになったので、傾いているがわと反対がわを掘ることで、ちょっと傾斜を戻すという大工事が行われた)、『最後の晩餐』の修復も終わって、物語の舞台の事情が大幅に変わってしまったのです。
 だったら20年前の物語としてすなおに再出版してくれればいいですが、通貨単位がユーロになってたり、ニューヨークのテロ事件に言及してたりと、どう考えても21世紀の物語に生まれ変わっている。
 なのに、さっきも言ったピサの斜塔の傾斜角も、『最後の晩餐』も、20年前の状態のままなのでした。くそ〜、なんであたしがなおさなきゃならんのだ。
 その後、校閲さんがもっとたいへんなことをひっかけてきました。
「あの〜、登場人物のプロフィールもそのままなので、年齢が20歳ずれてしまうのですが」
 慌てて確かめると、ほんとだ。70そこそこの社長が、このプロフィールどおりに計算すると、90過ぎになってしまう。ええ〜、これもあたしがなおすの〜!
 しかし、プロフィール部分はえんえんと続き、物語にばっちりくいこんでいるので、これを完璧になおすのは不可能です。しかたがないので、登場人物の年齢をあいまいにし、プロフィール中で修正のきく部分はなおし、どうしようもない事項はカットする、という手段で、どうにかつじつまをあわせることができました。(と思う。おかしなところがあっても、つっこまないで〜)
 やれやれ。いまとなっては、よい思い出ですわ。

 表紙の絵は画家さんが描いてくれたオリジナルの「手稿」です。とてもきれいな表紙だったので嬉しい、と、担当さんに言ったら、画家さんに何度も描きなおしてもらったそうな。どうもありがとうございます〜。



posted by ゆき at 19:57| 東京 ☀| ルイス・パーデュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする