
「夜愁」(上)サラ・ウォーターズ
"Night Watch" by Sarah Waters
東京創元社 税込924円 ISBN: 4488254056
1947年、ロンドン。第二次世界大戦の爪痕が残る街で生きるケイ、ジュリアとその同居人のヘレン、ヴィヴとダンカンの姉弟たち。戦争を通じて巡り合った人々は、毎日をしぶとく生きていた。そんな彼女たちが積み重ねてきた歳月を、夜は容赦なく引きはがす。想いは過去へとさかのぼり、隠された真実や心の傷をさらけ出す。ウォーターズが贈るめくるめく物語。ブッカー賞最終候補作。

「夜愁」(下)サラ・ウォーターズ
"Night Watch" by Sarah Waters
東京創元社 税込924円 ISBN: 4488254063
1944年、ロンドン。夜ごと空襲の恐怖にさらされながら、日々の暮らしに必死でしがみつく女たちと男たち。都会の廃墟で、深夜の路上で、そして刑務所の中で、彼らの運命はすれ違い、交錯する。第二次世界大戦を背景に、赤裸々に活写されるのは人間の生と業、そして時間の流れと過ぎゆく夜。大胆な手法を駆使して、人間という存在の謎に迫る、ウォーターズ渾身の傑作。
サラ・ウォーターズの作品はいままでずっと一人称だったので、すっかりそのやりかたに慣れていたのですが、今回は思いがけず三人称で、まずペースを作るところから苦労しました(笑)。うーん、なんとなくこの人は必ず一人称という思いこみがあった・・・・
そして、主人公がたくさんいる。いろんな人に視点をあわせて、やっていかなければならない。ある意味、今回はわたしが霊媒だぞ、と思いつつ、章がかわるごとに、別人物を召喚していました。
今回も刑務所が出てきます。うまい具合に、これをやってる間に「プリズンブレイク」のドラマを見ていたので、雰囲気や内部の構造を知ることができました。やっぱり文献の資料だけよりも、映像で見るとはっきりしますね〜。
わりと個性的なキャラが多いのですが、今回のわたしのお気に入りはミッキーです。というか、ミッキーがいてくれないと、全体が暗くなった・・・・わたしにとってのオアシスでした。読者に愛されるキャラになっていると嬉しいのですが〜。どうかな。
ではでは、どうぞ、お楽しみください。
ミステリではありませんので、あしからず〜。
東京創元社
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